「塩化カルプロニウムが育毛に良い!」と聞いて、気になっている方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では…
- 塩化カルプロニウムの効果の仕組みについて
- 塩化カルプロニウムの市販薬と処方薬の違いについて
- 塩化カルプロニウムのAGAへの効果について
といった内容について、診療ガイドラインや臨床研究などの結果などに基づいてわかりやすくご紹介します。
書いた人:リク
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塩化カルプロニウムとは
塩化カルプロニウムは、化学式がC8H18ClNO2で表される有機化合物です。
実は、塩化カルプロニウムはもともともともと胃腸薬として使われていた成分です。
胃腸の血行を促進して胃液の分泌を増やす効果があります。
しかし、この成分には血管を拡張する作用もあることが分かり、育毛剤にも応用されるようになりました。
日本では1973年に第一製薬(現・第一三共)が塩化カルプロニウムを配合した発毛促進薬「カロヤン」を発売しました。
ちなみにこれが日本で始めて頭髪用発毛・育毛剤として登場した医薬品です。
塩化カルプロニウムの発毛促進効果のメカニズム
塩化カルプロニウムは、アセチルコリンという神経伝達物質と似た作用を持ちます。
アセチルコリンは、血管を拡張して血流を増やす効果があり、塩化カルプロニウムも同様に、頭皮に塗ることで頭皮の血管を拡張し、毛根に栄養を送り込むことで発毛を促進します。
また、アセチルコリンを分解する酵素の働きを阻害することで、血管拡張作用を持続させます。塩化カルプロニウムは、円形脱毛症や乾性脂漏などの皮膚疾患にも有効です。
塩化カルプロニウムに関連した臨床試験について
塩化カルプロニウムの効果については、臨床試験で効果が確認されています。
5%カルプロニウム外用液
5%塩化カルプロニウム外用液を6名の男性に1ヶ月間使用したところ、4人で脱毛減少または発毛が見られた。
5%塩化カルプロニウム外用液を5名の男性に3-5ヶ月間使用したところ、3人がやや有効であった2。
渡辺靖, 永島敬士: 頭部脂漏に対する Methyl methyl-γ-aminobutyrate chloride の使用経験,診療と保険,1968; 10: 41―44.
樋口謙太郎,幸田 弘: 脱毛症に対するフロジン液の効果―7施設における臨床効果検討会の報告―,診療と保険,1970; 12; 1395―1407.
10%カルプロニウム外用液
10%塩化カルプロニウム外用液を10名の男性に6ヶ月間使用したところ、脱毛の抑制と軽度の発毛が見られた。
伊崎正勝,前田正彦,坂本政禧: 脱毛症に対する Methyl N-trimethyl-γ-aminobutyrate chloride(略称 MTB)塗布液の治験,皮膚と泌尿,1968; 28: 737―746.
塩化カルプロニウムの副作用について
塩化カルプロニウムは、比較的副作用が少ない成分ですが、一部の人には皮膚のかゆみやかぶれなどのアレルギー反応が起こる可能性があります。
これらの症状が出た場合は、使用を中止し、水で洗い流してください。必要に応じて医師に相談するようにしましょう。
塩化カルプロニウムはAGAには効かない?
塩化カルプロニウムは、血管拡張作用や発毛促進作用を持つとされている成分ですが、AGAへの効果は非常に限定的と言わざるをえません。
AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が毛母細胞に結合して、毛周期を短くし、毛髪の成長を阻害することです。
しかし、塩化カルプロニウムは、このDHTの生成や結合を阻止する作用はありません。
そのため塩化カルプロニウムはAGAの根本的な原因には働きかけられないと考えられます。
皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでも優先度は低い
皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでは、男性型脱毛症(AGA)の診療の際に用いるべき治療方法の推奨度を5段階で分類しています。
- A:行うよう強く勧める
- B:行うよう勧める
- C1:行っても良い
- C2:行わないほうがよい
- D:行うべきではない
塩化カルプロニウムに関しては、推奨度は「C1:行っても良い」です。
基本的には男性型脱毛症(AGA)の治療では、推奨度Aの治療方法から試していくことが一般的です。
参考:AGA_GL2017.pdf (dermatol.or.jp)
AGA治療の外用薬はミノキシジルを外せない
ミノキシジルは、塩化カルプロニウムと同じく外用薬として使用される成分で、診療ガイドラインでも推奨度「A:行うよう強く勧める」に分類されています。
ミノキシジルは、血管拡張作用や毛母細胞の活性化作用によって発毛や育毛を促進します。
日本で唯一、“発毛促進剤”ではなく”発毛剤”と謳うことができる医薬品です。
AGA治療の内服薬はフィナステリドかデュタステリド
フィナステリドとデュタステリドは、ともにAGAの症状の進行を抑制する内服薬です。
診療ガイドラインでも推奨度「A:行うよう強く勧める」に分類されています。
AGAは、テストステロンが毛包内の5αリダクターゼという酵素によってDHTに変換されることで発症を起こすと考えられています。
フィナステリドとデュタステリドは、どちらもこの5αリダクターゼを阻害する働きを持ちます。
フィナステリドはⅡ型の5αリダクターゼのみに作用するのに対して、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型双方に対して抑制効果が認められている。
AGA治療の1ヶ月の費用の目安
ミノキシジルやフィナステリド、デュタステリドの何れもジェネリック医薬品が登場したことで、1ヶ月にかかるAGA治療の費用は以前の半額以下になりました。
相場としての目安をご紹介します。
ミノキシジル外用薬:3,000円~5,000円
+
フィナステリド:4,500円~8,200円
もしくは
デュタステリド:8,000円~13,000円
1ヶ月の合計費用相場:7,500円~20,000円
オンラインで診療が完了できるクリニックが特に費用が安い傾向です。
例えば、ミノキシジルとフィナステリドの組み合わせだと、“銀クリ”の愛称で知られる銀座総合美容クリニックなら、初月1,000円、2ヶ月目以降も9,700円ほどです。
日本メーカーの医薬品のみを取り扱う安心感で人気のイースト駅前クリニックでは、国内正規品のミノキシジルとフィナステリドで月9,240円、6ヶ月分をまとめて支払うと割引が適用され、1ヶ月7,700円です。
塩化カルプロニウムが含まれる医薬品
塩化カルプロニウムが含まれる医薬品には、ドラッグストアなどで購入できる市販薬と、医師の処方が必要な処方薬の2種類があります。
市販薬と処方薬の主な違いは「塩化カルプロニウムの濃度」です。
- 市販のカロヤンシリーズ:1%または2%
- 処方薬のフロジン外用液:5%
塩化カルプロニウムの効果を高めるコツ
塩化カルプロニウムを含む外用薬を使用する際に、その効果を高めるためのコツがあります。
1.頭皮マッサージや適度な運動をする
塩化カルプロニウムは血行促進作用がありますが、それだけでは不十分です。
頭皮マッサージや適度な運動をすることで、さらに血流をよくし、毛根に酸素や栄養を届けることができます。
頭皮マッサージは、指の腹で頭皮を優しく揉んだり、引っ張ったりすることで行います。
運動は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がおすすめです。
2.DHTの生成を抑える食事や生活習慣の改善をする
DHTは、毛根を縮小させて脱毛を促進する原因となります。
そのため、DHTの生成を抑える食事や生活習慣の改善も必要です。
DHTの生成を抑える食事としては、亜鉛やビタミンB6などの栄養素が豊富な食品や、大豆製品や緑茶などのイソフラボンが含まれる食品がおすすめです。
生活習慣の改善としては、睡眠不足やストレスなどを避けることが大切です。
3.塩化カルプロニウムと他の発毛剤との併用を検討する
塩化カルプロニウムには緩やかな発毛促進効果があるとされていますが、それだけでは限界があります。
他の発毛剤と併用することで、より効果的な発毛効果が得られる可能性が高いです。
例えば、内服薬としてフィナステリドやデュタステリドなどのDHT阻害剤、外用薬としてミノキシジルなどの発毛剤と併用することで、塩化カルプロニウム単独よりも高い発毛効果が期待できます。
ただし、併用する際には医師に相談し、副作用や相互作用に注意してください。
塩化カルプロニウムは効果のある発毛促進成分
この記事では、塩化カルプロニウムについて詳しくご紹介しました。
塩化カルプロニウムとは、脱毛症や尋常性白斑の治療に用いられる外用医薬品です。
塩化カルプロニウムには、血行促進作用や毛嚢への作用があり、発毛を促進するとされています。
塩化カルプロニウムは、発毛治療の選択肢の一つとして考えられますが、その効果には個人差があります。
自分に合った発毛治療を見つけるためには、医師や専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。